セミリタイア後の家計を考えていると、健康保険や年金は調べても、介護保険料を別に見込んでいないことがあります。65歳になって自治体から納付書が届き、「国保でも払っているのに、また請求されたの?」と戸惑う場面もあるかもしれません。
先に押さえたいのは、40歳から64歳までは加入する医療保険と一緒に、65歳からは原則として市区町村へ本人の介護保険料を納めることです。保険料の対象になる月と、実際に払う納期は別なので、二つの請求が届いたことだけでは二重払いか判断できません。
この記事では、自分が負担する公的介護保険料に絞り、退職後の加入先、65歳の切替、通知の照合、支払いが難しいときの相談を整理します。制度と自治体の例は2026年10月16日時点で確認しています。金額・所得段階・納期は地域や加入先で違うため、自分の通知書と照らし合わせて読み進めてください。
- 40歳から64歳は健康保険の加入先に介護分の内訳を確認する
- 65歳の切替月は誕生日の前日が属する月で判定する
- 納期が重なっても対象月・対象者・年額を分けて照合する
- 年金天引きの開始通知と減免・納付相談の窓口を確認する
セミリタイア後の介護保険料と年齢

介護保険料は、退職したか、介護サービスを使っているかだけで納付の要否を決めるものではありません。まず自分の年齢と医療保険の加入先を確認し、どの窓口が何月分を計算しているのかを押さえましょう。
40歳から64歳は医療保険と納付
公的介護保険では、原則として40歳から64歳の医療保険加入者が第2号被保険者、65歳以上の人が第1号被保険者です。40歳から64歳の介護保険料は、健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など、加入する医療保険の保険料と一体で徴収されます。
会社員の給与明細に「介護保険料」の欄がある場合も、健康保険の欄にまとめて表示される場合もあります。欄が見当たらないから払っていないと決めず、勤務先の給与担当や加入先へ内訳を確認してください。国保なら、保険料の決定通知にある介護分の欄が確認の出発点です。
40歳で第2号被保険者になる時期は、誕生日の前日が属する月で考えます。たとえば5月1日生まれなら前日の4月30日に40歳となるため、4月分からが対象です。給与から実際に引かれる月は勤務先の徴収方法によるので、対象月と給与支給月を分けて見ます。
東京都北区の国保保険料の計算案内も、40歳になる月について1日生まれの人は前月分からと説明しています。誕生日が近い人は、生年月日を窓口へ伝え、介護分の算定開始月を確認しておくと安心です。
基本の区分は厚生労働省の40歳からの介護保険制度の案内で確認できます。自分が介護を受けていないから任意で外れる制度ではなく、民間の介護保険商品への加入とも別です。まず公的制度の負担を家計へ入れ、その後に別の備えを考えましょう。
なお、40歳から64歳の人が介護サービスを利用できる条件と、保険料を負担する条件は同じ話ではありません。必要になったときの認定やサービス選びを、この納付確認と一度に調べきる必要はありません。ここでは、自分の毎年の支出と切替時期に集中します。
退職後は加入先ごとに確認する

セミリタイア後に働き方を変えると、医療保険の加入先が変わることがあります。会社の健康保険に加入して働く、退職前の保険を任意継続する、国保へ入る、要件を満たして家族の被扶養者になる、といった状態ごとに確認先を分けましょう。
| 40歳から64歳の加入状態 | 介護分の確認先 | 見たい書類・項目 |
|---|---|---|
| 勤務先の健康保険 | 勤務先・健康保険の保険者 | 給与明細、標準報酬、適用される料率 |
| 任意継続 | 継続先の健康保険の保険者 | 保険料通知、介護分を含む納付額 |
| 国民健康保険 | 市区町村の国保窓口 | 世帯の保険料通知、介護分の内訳 |
| 家族の被扶養者 | 家族の勤務先・健康保険の保険者 | 扶養の認定状態、保険者の取扱い |
在職中の健康保険では原則として事業主と本人が保険料を分担しますが、任意継続では事業主負担分も自分で負担します。退職前の手取りから見た控除額を、そのまま退職後の予算へ置かないようにしましょう。介護分も含んだ加入後の通知額で比べる必要があります。
協会けんぽの退職後の健康保険と任意継続の案内は、退職後の加入先や40歳・65歳での保険料の変化を説明しています。健康保険組合の独自の料率や取扱いまで同じとは限らないので、実際に加入する保険者の説明も確認してください。
国保にするか任意継続にするかなど、医療保険全体の選び方は、セミリタイア後の国保と任意継続・扶養の比較で整理しています。本記事では、選んだ加入先から介護分を漏らさず確認することと、65歳で納付先が分かれることを押さえます。
65歳は誕生日前日の月で切替

65歳になると、第2号から第1号へ切り替わり、本人の介護保険料は市区町村が計算します。ここでの基準日は65歳の誕生日の前日です。「誕生月から」とだけ覚えると、1日生まれの人は1か月ずれてしまいます。
| 65歳の誕生日の例 | 資格取得日 | 本人の第1号保険料の対象月 |
|---|---|---|
| 11月20日 | 11月19日 | 11月分から |
| 11月1日 | 10月31日 | 10月分から |
| 4月1日 | 3月31日 | 前年度の3月分から |
たとえば11月20日に65歳になる人は、本人の第2号の介護分を10月分まで、第1号を11月分からと分けて考えます。11月1日生まれなら、第2号は9月分まで、第1号は10月分からです。これは保険料の対象月の整理で、納付書が届く月や引落月を示したものではありません。
新宿区の保険料の納め方と65歳時の取扱いも、資格取得日を誕生日の前日とし、1日生まれの例を示しています。切替に伴う通知が誕生日当日にそろうとは限らないので、届いた日だけで適用月を判断しないようにしましょう。
働き続けている人や、健康保険の被扶養者のままの人も、65歳からの本人の介護保険料を確認します。医療保険の加入が続くことと、介護保険料の納付先が変わることは両立します。65歳で医療保険そのものを一律に脱退する、という話ではありません。
二つの請求は対象月から照合

65歳になったあとも国保の納付が続き、別に介護保険の納付書も届くことがあります。このときは「同じ月に2回払うか」ではなく、「同じ人の同じ対象月を重複して計算していないか」を確認します。納付する月と、保険料が掛かる月は別だからです。
国保では、65歳前の対象月分の介護保険料を、その年度の複数の納期へ振り分ける場合があります。65歳以後の納付書に介護分が表示されても、65歳前の月分を分割して払っているなら、本人の第1号保険料と対象月は重なっていません。
習志野市の65歳になる年の算定期間と支払期間の説明は、月割りの対象期間と納付する期間の違いを示しています。同じ国保でも納期の設け方は自治体で違うため、その市の回数や通知時期を全国共通とは考えません。
- 国保通知の介護分が、本人の何月分までを含むか
- 第1号の通知が、何月分からを対象としているか
- 世帯にほかの40歳から64歳の加入者がいないか
- 以前の納付済額や変更通知がどう反映されているか
また、本人の介護分が国保から外れても、国保の医療に係る保険料などは残ります。国保の引落し全体がゼロになるわけではありません。医療保険の総額と介護保険だけの額を比べて「増えた」と決めず、同じ項目同士を並べてください。
対象月の重複や納付済みの金額の未反映が疑われるなら、国保と介護保険の両方の担当へ確認します。「国保の介護分は何月分までで、こちらの納付書は何月分からですか」と、対象期間をそろえて聞くと伝わりやすいです。単なる納期の重なりの場合も、計算の訂正が必要な場合もあるので、「二重にはならないはず」と放置せず、反対に自分で片方の支払いを止めずに照会しましょう。
被扶養者と家族の分も分ける
40歳から64歳で勤務先の健康保険の被扶養者になっている人は、通常、本人へ介護保険料が個別に請求されるわけではありません。ただし、扶養の認定要件を満たしているかは別に確認が必要です。「収入を減らしたから自動的に扶養」とは考えないでください。
被扶養者の人も65歳になると、市区町村へ本人の第1号保険料を納めます。「家族の扶養に入っているので、65歳以後も自分の介護保険料は不要」という理解はできません。夫婦とも65歳以上になった場合は、本人ごとの保険料をそれぞれ家計に計上します。
国保の通知は世帯単位なので、本人が65歳になっても、同じ国保世帯に40歳から64歳の家族がいれば、その家族の介護分は残り得ます。通知書の名義が世帯主になっていることと、内訳が誰の分なのかも分けて確認しましょう。世帯全体の額だけでは判断できません。
健康保険組合によっては、本人が65歳以上でも、40歳から64歳の被扶養者がいる場合に「特定被保険者」として介護保険料を徴収する取扱いがあります。本人の第1号保険料と、扶養家族に関係する健康保険側の負担を同一視しないことが大切です。
たとえば三菱地所健康保険組合の介護保険制度の説明は、この取扱いを規程に基づくものとして案内しています。全保険者に当てはめず、自分の加入先へ「誰の分の、どの制度の保険料か」を確認すると、65歳後も給与明細に介護分がある理由を整理しやすくなります。
セミリタイア後の介護保険料の納付確認

納付先が分かったら、金額と支払方法を確認します。用意したいのは、保険料の決定・変更通知、納付書、年金の通知、通帳などです。通知の年額を読む作業と、実際の口座残高を用意する作業を分けると、支払いの見落としを減らせます。
前年所得と通知の段階を確認

65歳以上の介護保険料は、市区町村の基準額と所得段階などによって決まります。本人だけでなく世帯の住民税課税状況、本人の前年の所得や課税年金収入なども判定に関わります。退職して現在の収入が少なくなっても、その場ですべてが最低額になるわけではありません。
通知では、対象年度、所得段階、算定の対象月、年額、納付方法を順に見ます。前年の所得を使うときの「前年」は、通知の年度との対応で確認してください。2026年度の案内と2025年度の案内を混ぜると、所得の区切りや金額を取り違えるおそれがあります。
年金を受け取る時期を遅らせている人も、65歳以上の介護保険料そのものがなくなるわけではありません。前年の仕事の所得や世帯の状況などを伝え、対象の段階を確認します。受給開始の選び方は、セミリタイア後の年金繰下げと手取りの確認点と合わせて整理してください。
2026年度は、税制改正の情報だけで段階を自己判定しないことにも注意が必要です。新宿区の2026年度の介護保険料の決まり方では、給与所得控除の引上げに伴い、介護保険料の算定と課税状況の判定を調整すると説明しています。住民税が非課税でも、介護保険料の判定では課税として扱う例が掲載されています。
これは新宿区の現年度の案内を使った確認例です。自治体ごとの段階表、所得の定義、年度ごとの経過的な扱いを読んで照合しましょう。「非課税」という一語だけで通知が間違っているとは決めず、分からない項目は通知を発行した自治体へ聞いてください。
年金天引きまでは自分で払う

65歳以上の納め方は、年金から差し引く特別徴収と、納付書や口座振替で納める普通徴収があります。対象となる年金が年額18万円以上なら原則として特別徴収ですが、年金があれば必ずすぐ天引きになる、という仕組みではありません。
年度途中に65歳になった人、他の市区町村から転入した人、保険料が変更になった人などは、一時的に普通徴収になる場合があります。年金天引きを待って納付書を置いたままにせず、今届いている通知で支払う分と、切替後の分を確認しましょう。
対象年金の判定は、複数の年金を単純に合計するだけではありません。練馬区の特別徴収と普通徴収の案内では、1種類の対象年金で年額18万円以上であることや、対象となる年金の種類・優先順位を説明しています。年金が複数ある人は、自分のどの年金が対象かを確認してください。
年金天引きと納付書払いは、好みに合わせて自由に選び直すものではありません。年金の受給状況等に基づいて決まります。普通徴収の間に口座振替を利用する場合も、申込みの受付と振替開始は同じ日とは限らないので、開始前の納付書をどう払うかを確認します。
新宿区では、新たに65歳になった人などは、おおむね6か月から12か月の普通徴収を経ると案内しています。これは同区の目安で、全国一律の開始期限ではありません。切替通知に書かれた開始月と普通徴収で残る分を確認し、通帳と照合しましょう。
年金の振込額には、介護保険料以外の税金や保険料の差引きが含まれる場合もあります。振込額が前回より減ったことだけで介護保険料の増額とは決めず、日本年金機構の年金振込通知書の見方を参考に、差引き項目と自治体の通知を同じ支払回で見比べると確認しやすくなります。
通知を作成する時期の違いで、年金振込通知書に、その後に決まった介護保険料が反映されていない場合もあります。鹿児島市の二つの通知の記載額が異なる場合の説明も、その点を案内しています。額が違うときは、最新の自治体通知の発行日と該当する支払回を伝え、担当窓口へ確かめましょう。
年額と期別額を家計へ入れる
家計の見積もりでは、毎月の積立額と実際の支払額を分けます。年額を12で割った数字は月平均の負担であり、納付書1枚の金額とは限りません。年度の途中で65歳になる場合は対象月数が少なくても、残った納期へまとめて振り分けられることがあります。
仕組みだけを示す仮の例として、通年なら年額7万2,000円の段階に当たり、11月分から翌年3月分まで5か月が対象とします。月割りの概算は7万2,000円÷12×5=3万円です。実際の料金表を引用した数字ではなく、端数処理などは省いています。
その3万円を仮に3回で納めるなら、1回1万円です。月平均6,000円と納期ごとの1万円が違っても、それだけで計算誤りではありません。実際の納期回数や額は通知に従い、説明用の3回を自分の自治体の支払い予定に当てはめないでください。
自治体の違いもあります。新宿区の普通徴収は原則7月から翌年3月まで9回、柏市の普通徴収の案内では通常6月から翌年3月まで10回です。同じ年額でも1回の金額は変わり、年度途中の切替などでは別の予定になることもあります。
| 確認する数字 | 家計での使い方 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 年度の保険料総額 | 年間の支出枠を見込む | 期別額へ重ねて加算しない |
| 各納期の支払額 | 引落口座の残高を用意する | その月1か月分とは限らない |
| 納付済額と残額 | これから必要なお金を確認する | 変更前の通知を重複計上しない |
| 特別徴収と普通徴収の内訳 | 二つを合わせて年額と照合する | 併用だけで二重払いとはしない |
保険料が変更になったら、最新通知で残額を確認します。古い納付書を使ってよいか、払った分が差し引かれているかが不明なら窓口へ聞きましょう。制度上の負担を年単位で把握し、支払いは納期単位で備えると、資産の取り崩し予定も立てやすくなります。
減免と猶予は納期限前に相談

退職や事業の縮小で収入が減り、保険料を納めるのが難しい場合は、通知を放置する前に担当窓口へ相談しましょう。所得に応じた段階や軽減を確認することと、特別な事情に基づく減免・徴収猶予を申請することは、分けて考えます。
新宿区の介護保険料の徴収猶予と減免の案内では、災害や、生計維持者の失業・事業廃止などによる著しい収入減少等を相談対象として挙げています。ただし、セミリタイアを選んだ人が全員減免されるという意味ではありません。自己都合の退職も含め、自分の事情が要件に当たるかを確認します。
40歳から64歳なら、加入している医療保険の保険者へ介護分を含む負担を相談します。国保の軽減・減免と、65歳以上の第1号保険料の減免は、同じ制度ではありません。国保で認められたから介護保険側も自動で同じ扱いになる、とは考えないでください。
- 保険料の決定通知と、直近の納付・引落しが分かるもの
- 退職や事業の縮小の時期・事情を説明できるもの
- 前年の所得と現在の収入見込みを確認できるもの
- 毎月の収支と、いついくらなら納められるかの見込み
これらは相談の準備例で、提出必須書類の全国共通リストではありません。必要書類、申請期限、対象期間、所得や資産等の要件、審査中の納付の扱いを窓口へ確かめます。減免で額が変わるのか、猶予で支払い時期が変わるのかも、回答を分けて確認しましょう。
滞納が続くと、介護サービス利用時の給付の扱いに影響する場合があります。大阪市東淀川区の減免と滞納時の取扱いの説明も参考になりますが、自分の納付状況と適用は担当自治体へ相談してください。「今はサービスを使わないから後で考える」と先延ばしにしないことが大切です。
まとめ:セミリタイアと介護保険
セミリタイア後の介護保険料は、まず年齢と健康保険の加入先を確認します。40歳から64歳は医療保険と合わせた介護分、65歳からは誕生日の前日が属する月を基準に、市区町村へ納める本人の保険料を整理しましょう。
請求が二つ届いたら、対象月、対象者、年額、納期を順に見比べます。納期が重なっているだけか、家族の介護分が残っているのかを確かめると、支払いの重複や漏れを判断しやすくなります。自分で片方を止めず、分からない点は発行元へ確認してください。
次の行動は、国保や健康保険の通知と介護保険の通知を並べ、65歳の切替月と今後の支払額を確認することです。年金天引きの開始前は普通徴収の予定を確認し、納付が難しいときは期限前に相談します。介護保険料を年間の生活費へ含めておくことで、仕事を減らした後の家計を見通しやすくしましょう。
